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恋と気づくまでの時間はあといくら?

神田がいなくなった。
今日は彼の誕生日で、教団ではパーティが催される予定になっている。
昔馴染みが多いはずの教団で、自分の生誕を祝ってもらえる。なんて素敵なことか。
なのに。

「なんであのバ神田はっ!いなくなるんですかッ!!!」
「割と前からよ?」
「ならさらにむかつきます。」

スパッと言い張る。
そもそも、何を迷う必要があるのか。それとも照れているのか。
バカで横柄で気の合うところなんか無いに等しい神田の気持ちなんてわからないけれど。

「…僕は、マナに祝ってもらってからは、誕生日なんて祝ってもらえませんでしたよ。」
「これからは私たちが祝うわよ。だから、今は神田を探しましょ。」

捜索は僕、リナリー、ラビの3人。今は2手に分かれているが、教団は広いためそろそろ僕らもわかれる必要がありそうだ。
リナリーもそう思っていたらしく、僕らは次の分かれ道で2手に分かれた。

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「うーん…、めぼしい場所はあらかたまわりましたし、あとは普段使ってない部屋とか…ですかね?」

そもそもが気配を消すのに長けている人なので、探すのは苦労を要する。
やっとこさ見つけた、物置の一つと化している部屋の開け放ったドアから一歩、彼に近づく。と。

さくっ。

なにやら右の頬を何かが通り過ぎた。
六幻だ。

「な…っ、え、なっ?!」
「…うるせえ、モヤシ。」
「ちょっと神田!いきなり投げてくるとかどういうことですか!!」
「別に、煩いやつが来るような気がしたから投げただけだ。」

ほんとに減らず口である。
このまま会場に連れて行くのは至難の技だろう。

「神田、誕生日パーティーに
「いかねえからな」
「こいっつってんですよバカンダ!!」
「んだとエセ紳士!行かねえっつたら行かねえんだよ!!」
「強情パッツンが!みんなアンタを待ってるんですよ!!」

なんで。なんで自分の生まれを祝ってくれるというのに、それを。
ここまで来ると本当に許せない。

「なんでですか。」
「あ?」
「いつ死ぬかも分からないようなことして、そんな中で教団の…ホームのみんなが祝ってくれる。
それを何が行かねえ、ですか。馬鹿ですか。馬鹿なんですか?」
「馬鹿じゃねえよ」
「じゃあ、なんでですか。」

あ、だめだ。頭に血上りすぎた。
涙が浮かんでくるのがわかった。
こんなので泣いてたらかっこ悪い。
なんとか押しとどめて、もう一度キッ、と神田を睨みつける。

「…俺は死なねえし、騒がしいのは嫌いなんだよ。…それに。」
「なんですか。」
「祝って欲しいやつに祝われないなら、俺はそんなもんいらねえ。」
「………は?」

今、目の前の男はなんといったのだろうか。
祝って欲しい人?そんな人が居たということにも驚きだが、それで祝われなくていいなんてことをいうとは。

「なら祝ってって言えばいいじゃないですか。
と、に、か、く!今は行きますよ、あとでリナリーに蹴られたくないでしょう?」

ここまで言って、やっと神田はしぶしぶとした様子で歩き出した。
本当に手のかかるというか…馬鹿か。
先を歩く神田を追う。

「チッ、この、鈍感モヤシが…。」

神田が何か言った気がしても、それが僕の耳に届くことはなかった。

神田誕生日おめでとおおおおおおおおおおおおおおおう!!
D灰なんてすっごい久々に書くのでものっそ不安定な文章になりました。反省したい。
実は両片思い。アレンは無意識、っていう話の筈でした。
端からみるとちょっと恥ずかしい、付き合っていない二人。